写真展

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In 無垢-muku-cafe

ま な ざ し
愛 注 し

「 夕焼けと海光 」長部田海床路(熊本県)

   風がふれて、波がほどけて、
   いくつもの音がやさしくあたたかく交差する。
   「海光」は、邂逅であり、懐古である。
   海の光によってできたその出会いは、

   どこか懐かしさを引き連れて、
   押しては返し、また出会う。

   陽が落ちる頃に、またあの場所で。

「 星の声 」砥峰高原(兵庫県)

   その光は、
   きっと何万年も前の声。

   まっくらな世界のなかで、
   自分の感情さえも澄んでいく。

   それでもちゃんと
   今の自分に届いていることが不思議で、
   ただ在るその声に、
   耳を傾けるように空を眺めた。

「 くれなづむ 」五島(長崎県)

   暮れきれずに、とどまる空。
   遠ざかるようで、まだ残る光。

   五島の夕空は、やけに永く、
   夕陽が今を名残惜しんでいるようにも見えた。

   ただくれなづむ空を、
   まだ僕も見ていたかった。

「 彩る風 」日本のどこか

   どこで見たか覚えていない。
   でも確かに記憶にある夕空。

   視界に、風が色を塗っていく。
   赤も青も、曖昧に混じり、
   ただひとつの光になる。

   輪郭のない美しさが、
   心の奥をそっと染めた。

「 光のしおり 」福岡県

   読みかけの言葉に、光がそっと挟まっていた。

   花の影が揺れて、

   ページの余白に時間がしみこんでいく。
   あの頃感じたやさしさが、
   今も静かにめくられている気がした。

   進まない物語と、やわらかな沈黙。

「 積情 」鶴見岳(大分県)

   青と白しかない世界に、
   声も、言葉も吸い込まれていった。
   季節がそっと、
   由布岳の輪郭をなぞるように心に触れてきた。

   ただ立っているだけで、
   胸の奥に何かが静かに積もっていく。

   雪も感情も、音を立てずに降りつもる。

   名づけられないものが、
   この景色の中で息をしていた。

「 夏が響く 」関門海峡(山口県)SOLD OUT

   夜のなかに、音が咲いた。

   街中を照らす大輪の花を
   いつまでもいつまでも見たいと、
   名残惜しんだひと夏の記憶。

   鼓膜の奥で、夏がまだ響いている。

「 朝にたゆたう 」宮崎県 SOLD OUT

   旅の途中でふと立ち止まった朝。
   何も特別じゃないのに、
   心だけがゆっくり揺れていた。

   静かに自由で、
   風も、笑い声も、眠気も、
   全部ひかりのなかで、
   やさしくほどけていった。

   ひかりが肌をなでて、
   呼吸が少しずつ深くなる。

   まぶたも心も、朝にたゆたう。

「 焦がる頬 」阿蘇(熊本県)

   雲のすき間から朝がこぼれる。
   眠りと目覚めが、静かに入れ替わる時に、
   光と影が肌の上ですれ違い、
   頬にそっと色が灯る。

   揺れるススキと、昇る朝日が
   音のない景色に脈を打つ。

   少しずつ焦がる頬とともに、
   温度を静かに一枚に残した。

Information

写真家

Name:持田 大地

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会場

名前:無垢-muku-cafe
住所:〒819-1321 福岡県糸島市志摩小富士961−3