anthology

anthologyのブランディングに携わりました!

作品

プロジェクトへの想い

写真でそっと、
まだ言葉にならない美しさを、浮かび上がらせる。

はじめてANTHOLOSYさんの服に出会ったとき、
それはまるで、音のない音楽のようでした。
黒、白、カーキ。飾らない色たち。
静かに揺れる布。
そっと刺繍された名前と、ユーカリの葉。
どれもが、語ることを急がず、
ただそこに“在る”ということの美しさを伝えているようでした。
この服には、誰かの特別な日を照らすような光ではなく、 日常に溶け込みながら、ふとした瞬間に心を掴む。
そんな「静かな余韻」が宿っている。
私たちは、そう感じました。

この服は、語らないことで語ってくる。

だから、写真も語りすぎてはいけない。
ロケーションには、空と海がただ広がる場所を選びました。
風の音、光のにじみ、余白のなかで、
ANTHOLOSYさんの服が”自然に浮かび上がってくる”のを待ちたかったんです。
椅子やユーカリの葉は、飾るためではなく、
その空気と共鳴する“媒介”として、そっと添えました。
ユーカリには、「再生」「癒し」「新しい始まり」という花言葉があります。
この服が、誰かの日々をそっとやさしく包み込み、
新しい季節へと背中を押してくれるようにと願いながら、
構図を整え、光を待ち、風と一緒に撮りました。

星を見上げるような眼差しで

モデルに求めたのは、派手なポージングではなく、
感情と感情の“間”にあるような、自然体の美しさでした。
星を見る人のように、
少し先を見つめるようなまなざし。
その視線の先にあるものを、見る人にも想像してもらいたかった。
この服が持っているのは、説明じゃなく、余韻です。
だからこそ、言葉の前に感情が届くような、
そんな写真を撮りたかった。

服を撮る、のではなく
服と、時間を過ごす。

撮影ディレクションという言葉は、
どこか技術的に聞こえるかもしれません。
でも私たちにとってのディレクションは、
その服と、場所と、空気と、
そしてそのブランドが持つ”気配”と一緒に過ごすこと。
「この服は、どんな風に風を受けてほしいか」
「どんな空の下で、呼吸したいのか」
そんなことを問いかけながら、
ブランドの輪郭を、少しずつ、少しずつ、浮かび上がらせていきます。

“どう見せるか”より、“どう感じてもらうか”

ブランドをブランディングする、というと、
何かを足すように聞こえるかもしれません。
でも私たちがやりたいのは、
まだ言葉になっていない魅力を
そっと、静かに、目に触れる場所まで運んでくること。
「なんか、好き」
「よくわからないけど、ずっと見ていたい」
そんな感情の余韻が、
ブランドと誰かを結ぶきっかけになると思っています。

最後に

ANTHOLOSYさんの服が持つ「静かな強さ」に、僕は心を打たれました。
それを伝えるために、自然と向き合い、光を受け、風にまかせながら、
ひとつひとつの写真に“呼吸”を宿しました。
写真は、ブランドの外側を飾るものじゃない。
ブランドの奥にある“空気”や“願い”を、静かに伝えてくれるものだと思っています。
そんなふうに向き合いながら、
私たちはANTHOLOSYさんの写真を撮りました。
このアパレルが好きだから。
この世界観に、触れた人の心がそっと揺れると信じているから。